苦渋味は、美味しさになる

新茶を飲んだあと。
舌の奥に、ほんの少しだけ残る感覚があります。
すぐに消えていく甘みではなく、静かに残り続ける、青い余韻。

今年の新茶松に、そんな“残る味”がありました。
口に含んだ瞬間、新茶特有のフレッシュな香りが、一気に駆け抜けていく。
若い芽だけが持つ、みずみずしく、少し青い香り。

その鮮やかさは、今年の新茶ならではの魅力です。
けれど、本当に印象に残るのは、
飲み込んだあとに、ゆっくりと現れてくる苦渋味なのかもしれません。

苦味。
渋味。

それだけを聞くと、
口に含むのを少し避けたいもののように感じるかもしれませんが、
新茶松で感じる苦渋味は「欠点」ではなく、味わいの一部として存在しています。

甘みだけでは終わらない。
香りだけでも終わらない。

そのあとに続く、
ほんの少しの苦渋味があることで、
新茶の味わいは、静かに長く続いていきます。

今年の新茶松は、
若い芽を丁寧に摘み取ったことで生まれる、
みずみずしい香りがとても印象的でした。
素材の持つ香りを、そのまま引き出しているからこそ、
その青さや鮮度感が、まっすぐに伝わってきます。

若さを包み込むように、あとからゆっくりと苦渋味が重なっていく。
それは強さではなく、味わいに奥行きをつくる存在。
宇治の新茶には、こうした“美味しい苦渋味”があります。

若い新芽が持つ生命感。

その勢いを消さずに残すからこそ、
そこには、みずみずしい苦渋味も生まれます。

湯気の向こうに立ちのぼる、
まだ少し青い香り。

そして、飲み終えたあとに、
静かに舌の奥へ残っていく余韻。

そのどちらも含めて、
今年の新茶なのだと思います。

飲み終えたあと。

まだ少しだけ残っている、その感覚に気づいたとき、
もう一煎、淹れたくなる。

そんな新茶の輪郭を、
どうぞゆっくり味わっていただけたら嬉しいです。

Back to blog